2024年5月11日土曜日

「フジヤマコットントン」鑑賞&感想会

フジヤマコットントンという

富士山の見える山梨県甲府盆地の中心部にある障害福祉サービス事業所「みらいファーム」で

障害を持つ人たちが仕事に取り組む様子を撮ったドキュメンタリーを鑑賞し

参加者が感想を語り合う会に参加しました。


監督は、相模原障害者施設殺傷事件の「障害者は生きている価値がない」という言葉を受け

「人間の価値とは何か。なぜ事件は起きたのか」を考えながら挑み

人の価値を「ある/なし」の土俵に乗せず、目の前にいる人たちの魅力を

出演してくれた一人ひとりの日常の中にある「良い!」を見つめたのだとのこと。


コットンを栽培する人、紡いで糸にする人、染色する人、織り上げる人、布で作品をつくる人。

種をまき、花を咲かせ、丹念に花のお世話をする人。

と思えば緻密に丁寧な色を付けて絵を描く人がいたり、とそれぞれ作業に取り組む。

「家に帰りたくないんだ」という利用者さんには早く帰るように促すこともなく職員が見守る。

「施設に来るが大好きだ」という利用者さん。

こういう施設なら好きになるだろうなぁ、と観ている私も思いました。

それから利用者さんに芽生える恋バナも。

人間をまるごと、映し出していました。


相模原障害者施設殺傷事件を取り上げた映画には「月」もあって

どんな内容になるんだろうかと思っていましたが

同じ事件から影響されて生まれたものでも、表現が全く違っていて

それはそれで面白いなと思いました。


感想会にはコットンの栽培をしている方や福祉に関わる仕事をしている方

身近に障がいをもっている方がいるという方、いろんな方が参加されて

いろいろな角度から作品を味わった感想を聞くことができました。


私はというと、障害福祉サービス事業所が舞台なので

私が仕事で関わっている子の中には将来、こういったところで働く子もいるのかな

卒業してすでに通っている子もいるので、こういう感じでお仕事しているのかな

と思ったり。


また施設のスタッフと利用者さんの関係がすごくいい感じで

その他、利用者さん同士の関わりなども撮影されていて

全編を通してほのぼのとした雰囲気の、あったかい空気が伝わる作品でした。


時折、利用者さんのぼそっとつぶやかれる言葉が

またなんともまた哲学的というか、深いところを突いていて……

「仕事ってなんのためにするの?」と撮影者に質問を投げかけた後、ぼそっと

「仕事は他の人を幸せにするためにすること。自分は施設の人を幸せにするために仕事をする」

と自分で答えていました。

その言葉の余韻を十分に感じた後にエンドロールが流れてきました。



「生産性がないと生きる価値がない」と言い切る人がいる一方で

「仕事は他人を幸せにするためにするもの」とぼくとつと働く人がいて

そしてそれをあたたかく見守る人がいて。

いろんな人がいるなぁ。ホントにいろんな人がいるなぁ、そう思った夜でした。


相模原障害者施設殺傷事件をモデルにした映画「月」を観たときは

「人」の定義や「生きる意味」って何だろう?生産性がないと生きている価値がないのだろうか。

私は映画の中の“彼”が思っている正義を、ひっくり返せるような言葉が思いつかない……。

とやるせない気持ちになりましたが

障がいのある方に否定的な人ばかりではないし

利用者さんの、自分の与えられたことをただひたすら全うしている姿に

あの時に感じた猛烈なやるせなさが救われました。


Kuramotoではちょうど「はなのころ」(障がいを持っている方のアート作品)の

作品展示が行われていました。






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