その頃読んでいた小説の主人公は父親が転勤族で各地を転々としており、日本全国に友達がいる、という設定でした。日本中に友達がいるなんてうらやましい、と思いました。
そんな時、父の知り合いで秋田に住む方の息子さんが島根県松江市にある高校に通っていて、その学校は日本全国から生徒が集まってくると聞きました。そこに通えば日本全国に友達ができるだろうなと思っていたら、男子校だったその学校が男女共学になると知りました。私は迷わず進学を決めました。
地元からの通学生もいましたが、私のように県外から入学した同級生は寮に入り、三年間寝食を共にしました。
食事は食堂で食べられましたが洗濯や掃除は自分でしなければならず、家族もいない生活にホームシックになる同級生も多くいました。
私は九人兄妹の長女として育ち、小さい頃から幼い妹たちの面倒をみたり家の手伝いをしていました。寮では自分のことだけをすればよかったので私にとっては好都合でした。ホームシックにもならずにすぐに慣れました。
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