まるたまかあさんの いっしょそだち!
気持ちを揺さぶられた言葉、好きな風景、お気に入りの本、日々の出来事、考えたことなどを備忘録代わりに書き綴っています。
2013年12月10日火曜日
「歌」 新川和江
はじめての子を持ったとき
女のくちびるから
ひとりでに洩れだす歌は
この世でいちばん優しい歌だ
それは遠くで
荒れて逆立っている海のたてがみをも
おだやかに宥めてしまう
星々をうなずかせ
旅びとを振りかえらせ
風にも忘れられたさびしい谷間の
やせたリンゴの木の枝にも
あかい灯をともす
おおそうでなくて
なんで子どもが育つだろう
この いたいけな
無防備なものが
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