2024年9月4日水曜日

時空散走 地域の思い出

時空散走に参加するようになって、自分が生まれ育った町のことを思い出してみた。

小さかった頃、どんなことをして遊んでいたか。近所にはどんな大人が住んでいたか。

自分が小さかった頃のことなんてもうすっかり忘れていて、さび付いていた私の記憶。

こんな企画がなかったら、きっとずっと忘れてしまって思い出すことはなかっただろう。


近所にはまだ商店街っぽいものが残っていて

実家の裏の通りには小さな個人商店が、坂の上と下に2軒あった。

よくお金を持ってお使いに行かされた。今でいう、コンビニのようなお店かな。

坂を少し上ったところにあったお店の思い出。

幼稚園の頃、「銀チョコ」という名前の、銀色のギラギラした袋に入った

チョコがコーティングされていたドッグパンが好きだった。

二つあればいいのだけれど一つしかお店にないときは

兄とどちらが銀チョコを手に入れるかでもめたりして。

つい最近スーパー銀チョコのパンを見かけたときはすごく懐かしくなった。


坂の下にあるお店の軒先には、バケツだったか発泡スチロールの容器だったか

水が張ってあってドジョウが入っていた。

容器の縁をポンポンと叩いて揺らすと、ドジョウがびっくりしてウヨウヨ動き出すから面白くて。

我が家の食卓ではドジョウが登場したことはなかったので

どうしてここのお店にはドジョウが売っているんだろう?え、まさか食べるの?と思ったり。


裏のお味噌屋さん。ずっとベッドにいるおじいちゃんと介護するおばあちゃん

それからおじちゃんとおばちゃんがいた。

遊びに行くとミロを作ってくれて、うちはココアとかそういったものはなかったから

それが美味しくて、嬉しかったなあ。

ミロを飲みながら夕方の時間に放映されるアニメを見てた。


味噌屋さんのお隣の時計屋さんは兄弟で経営するお店で

父とも仲良くて、腕時計の電池を交換してもらうのによく行っていた。

結婚する時の結婚指輪はここにお願いしよう、って思ってお願いした。

それから近所のはんこ屋さんも父の友達。結婚する時、主人の実印もつくってもらった。


近所の床屋さんには兄が散髪に行くときは一緒について行った。

お店にある漫画を読んだり、飼っていた九官鳥を眺めたりしていた。

白い陶器の器に入った髭剃り用のシェービングクリームを容器の中で刷毛でかき回して

泡がふんわりになる感触を楽しんだり。ホントにいたずらばっかりしていたなぁ。

でも叱られることもなくて、床屋のおばちゃんはいつもニコニコしていた。


呉服屋さんでは切手を売っていたので、中学生の頃は文通していた友達がいっぱいいたので

切手をよく買いに行った。(炭鉱の町だったから近所には呉服屋さんが結構あった)


おばあちゃん姉妹がやっていた本屋さんでは本のほかに糊や画用紙も売っていたから

小学校で必要なものがあったら買いに行ったり。

お店もホントに古いたたずまいだった。独特の匂いがあったような気がする。


肉屋さんではお肉だけでなく馬の油も売っていて

それがやけどにも効くとお店のおばさんから聞いて

どうして馬の油?なぜやけどの薬が肉屋で売っているんだろう、

とあの頃はぜんぜんわからなかったけれど、今は手が乾燥すると馬油を塗っている。


近所のお寺は私たち兄妹のあそび場。

駐車場や境内のまっすぐな道でローラースケートをしたり

建物やお地蔵さんの間でかくれんぼしたり

今思うと、顔から火が出るくらい恥ずかしいことを毎日やらかしてたな、と。

でもお寺の住職さんに怒られることもなく遊んでいた。


横断歩道を渡ると薬局があって

妹の離乳食(隠れて飲んだ赤ちゃん用のリンゴジュースが美味しかったり)や

兄妹の誰かケガした時の薬を買いに行かされたり。


あ、それからおもちゃ屋さんもあった!!

今はトイザらスができてしまったから町からおもちゃ屋さんが消えてしまったけど

お正月、お年玉をもらっておもちゃ屋さんに行くの、楽しみだった。


近所の、山の上にある公園にも子どもたちだけでよく遊びに行った。

今では大人がついていても、大勢でないと行けない場所になりました。

(人けがないのでちょっとこわい)

古い映画館の裏を通るのが近道なんだけれど、建物の裏手はコールタールで塗装してあって

小さい頃の私は黒い色がとにかく怖くて、真っ黒の建物の横を通るのがすごく嫌だった。

どうして嫌だったのかは覚えていないけれど、黒い色が怖かったことだけは覚えてる。

映画館の先、狭い道を行くと鯉を養殖している場所があって

またそれも秘密基地っぽくて、塀の間から鯉を覗いてみたり、なんだかそんなこともしていたな。


家からはちょっと離れるけれど、学校に行く通学路の途中には化粧品屋さんがあって

妹はショウウィンドウに沢山ディスプレイしてあるぬいぐるみを学校の帰りによく眺めていたっけ。

私は宝石屋さんの前を通って、きれいな指輪を眺めたりしてた。

透き通った宝石よりも私が興味を持ったのはオパール。

いろんな色がきれいに浮き上がって見えるのがなんともいえなくて

不思議な石だなぁって思って見てた。


自分が小さかった頃を思い出すと、近所の人たちはみんなおおらかで

「あ、○○さんちの~」とみんな私のことを知っているし

子どもだけで自由にあっちやこっちや、行き来していたかな。お使いにも行かされたし。


茨城で活動しているまちのこ団の団長の言葉。

人は、家だけでも、学校や会社だけでもなく、まちで育つ。

ホントだなー。

まちもそうだし、いろんな人たちの大きな優しいまなざしの中で私は大きくなったんだな、と。

主人の小さかった頃の思い出話を聴くのも好きだけど

私もいろいろいいこと、いい思い出が沢山あったなぁと、なんだかそんなことを思い出しました。


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