アリオスのアドバイザーとして視察してきました。
おでかけアリオスは市内の小中学校に出張します。
小学生だったらある程度反応が想像できるのですが
中学生となると生徒はどんな様子で聴くんだろうか~と思いながら
生徒たちの後ろの席に座りました。
まず初めに今日紹介したい楽器であるクラリネットの
美しい豊かな響きが特徴の曲(あ、私も聴いたことある!!私も好き~と思った曲でした)を演奏して
生徒たちの心をぐっとつかみます。
加藤さんが演奏しているピアノ。
普段は校歌を歌ったり入学式や卒業式で合唱の伴奏の時に出番があるだけのピアノが
今日は素晴らしい音色で「あー、やっぱりプロが弾くと全然違う!!」と。
クラリネットとピアノの曲を何曲か演奏していただきましたが
やっぱり生の音は違いますね。しかもプロの演奏家が演奏している音……。
心に沁み込んでいく感じ。
生徒たちの心にもこの音が沁み込んでいっているのかな。
マリンスノーみたいに静かに降り積もって、やがてそれが心の地層になっていくんだろうな。
作曲家の加藤さんはお話がとっても上手で
中学生ともなれば「音楽」という教科に苦手意識を持つ生徒も出てくると思いますが
みんなが楽しめるプログラムでした。
ひと言でクラリネットといってもいろんな種類があることや
クラリネットの歴史に関するクイズを出したり
演奏しながらどんどんクラリネットを分解していく曲(その名も“だんだん小さく”)を
披露したり。
曲名は知らなくても聴いたことがある曲(「くるみ割り人形」の「金平糖の踊り」)を使い
ここで演奏している楽器はバスクラリネットなんだよ、と説明したり。
(私も知らなかった!!)
吹奏楽部の生徒たちとクラリネット奏者の笹岡さんがロングトーン対決をすると
笹岡さんのロングトーンの長いこと長いこと!!
「え、そんなに人間の息って続くの?」と思ったら
「実はズルしてました!循環呼吸をしていたんですよ」と種あかし。
でもそんなに簡単に循環呼吸ってできるものでもないので、やっぱり練習の賜物です。
吹奏楽部の生徒たちに「演奏で困っていることはない?」と質問し
笹岡さんがちょっとアドバイスをしたら
アドバイスされる前の音とアドバイス後の音が違っていて
やっぱりすごいわ!!と思いました。
おもしろかったのは加藤さんがピアノを始めたきっかけ。
加藤さんがピアノを始めたのは小学2年生8歳だったそう。
幼なじみの女の子がピアノを習っていたから、その子のママに気に入られたい
その子と一緒に遊ぶために同じものを習いたい、という不純な動機で始めたと語る加藤さん。
はじめは五線譜の宿題がでてもそこに落書きしていたような加藤さんでしたが
五線譜に書かれた白い〇を見て、大好きな幼なじみが鍵盤をたたいた。
そしたらそれが美しい音になった。
五線譜に書かれたものは何でも音になる、音楽になる、と気づいて
そこから「なんて面白いんだ!!」と夢中になって
気づけば3歳からピアノを習っていた幼なじみよりもピアノが上達していたそうで。
音はドレミファソラシの7音しかない。
その7音で音楽ができるなんてこんなにおもしろいことはない
と音楽に魅せられたきっかけも話してくださいました。
音楽そのものの楽しさや美しさを感じるだけでなく
自分が音楽に魅せられたきっかけなど
加藤さんの人間味あふれるお話が私はとってもよかったと思います。
加藤さんの心と生徒たちの心がぐっと近づいたんじゃないかな。
そしてそんな加藤さんが生徒たちから募集した3つの音だけで
即興で曲を演奏したのには驚きました。
「ド・ミ・ソ」を使った曲。
しかも生徒たちに聞いたら明るい曲調じゃなくて暗い曲調がいいとのこと。
「ドミソ」って明るい和音の代表じゃない?!それを暗い曲調にできるの???と思ったら
見事に暗い曲調で、でも最後は明るくまとめ上げました。さすがは作曲家です……。
どうやってそんな即興で曲ができるのか興味津々でしたが
言葉で話すように、作り話をつくるように、考えなくても音が出てくるそうです。
もちろんセンスもあるだろうとは思いますが
それだけでなく頭の中にいろんな曲やパターンが蓄積されているからできることなんだろうなぁ
と思いました。
最後の質問コーナーでは中学生だと質問の手も挙がらないんじゃないかと心配していたら
ちゃんと質問の手が挙がり
中でも「その後、幼なじみの子とはどうなったんですか?」という質問には
私も「ナイス!!」と思いました。
中学校では合唱コンクールが近いこともあって「緊張したときはどうしていますか?」
なんていうものも。
「好きな曲は何ですか?」という質問に笹岡さんはクラシックの作曲家を答えるのに
加藤さんは「玉置浩二の“メロディ”をカラオケで熱唱する」という
最後まで親しみを感じさせるお話に
きっと生徒たちは「面白かったなぁ」と思って体育館を後にするだろうな、と思いました。
私はといえば、他の演奏家のおでかけアリオスをまた視察させていただきたいな、と思いました。
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