2023年12月18日月曜日

「世界のはしっこ、ちいさな教室」鑑賞感想会

映画を観た後に感想を語り合う、鑑賞感想会つきの上映会。

私はこの会が好きで、よく参加する。

今回の映画は「世界のはしっこ、ちいさな教室」。

残念ながらラスト10分くらいのところで仕事に行く時間になってしまって

他の方の感想を聞くことができなかったのだけれど、映画を観ることができてよかった♪


西アフリカにあるブルキナファソやバングラデシュ、シベリアで子どもたちに

学ぶことの楽しさや面白さを伝える三人の女性教師の姿を追った映画。

私もたった1年だったけれども教職の経験があるので

彼女たちの気持ちに共感したり

私だったら彼女のようにできただろうか、と思いながら観た。


ブルキナファソで新米教師になった彼女は幼い二人の子どもがいる。

自宅がある首都から赴任地までは600キロだったか700キロだったか、とにかく離れたへき地。

バスや車を乗り継いで、やっと着いた場所は携帯の電波も入りづらい場所。

新米教師はそこで6年間教えるという。

かわいい盛りの我が子と離れて、時々しか会えないというのに。

しかもブルキナファソは60もの言語があるといい、教室でも7つの言葉が飛び交う。

新任教師のあいさつでも、公用語のフランス語が分かる生徒にお願いして

(フランス語が分かるといっても、とても簡単なフランス語にしないと分からない)

自分の言葉をみんながわかるように訳してもらわないといけない。

単一言語の環境でしか生活したことがない私には驚きしかない。


識字率が世界でも最下位だというブルキナファソ。まずは文字の書き方を教えることから始まる。

落ちこぼれ者を出さない、みんなができるようになるためには、と悩み

日が落ちてからでも勉強したい子は勉強できるように、と

ソーラーパネルを購入して(多分、自費だろうな)自宅に設置したり。

私だったら家族と離れ離れになって、たった一人でへき地の学校で、しかも多言語が飛び交う現場で

6年間も教壇に立つ覚悟はあるだろうか。


バングラデシュではボートの上が学校の「ボートスクール」を。

船で子どもたちを家まで迎えに行き、そのまま船が教室になる。

女性教師は22歳。日本でいえば新卒の新米教師といったところだろうか。


しかし、女の子は勉強よりも結婚してほしい、という現実。

女性は18歳にならないと結婚できない決まりで、法を犯せば罰金刑が科せられるが

結婚の際に男性側から提供されるお金や宝石のために法を犯してまで娘を嫁に出す。

そうしないと生活していけない。

娘本人は結婚したくない、中学校に進学したい、そう思っても

中学の入学試験に合格したところで、制服も授業料も準備できないのだ。

でも女性教師はあきらめない。保護者に話す。

勉強して職につけばお給料がもらえる。早くに結婚させるのは本人の健康にもよくない。

中学校に進学させて欲しい、と、まだ若い娘が、自分より年上の大人に……。

私だったらそこまでできるだろうか。


日本も昔はそうだった。子どもたちは大事な働き手。

勉強することは大事だとは分かるけれど、働いてもらわなければ食うに困る。

そんな時代が長く続いた。

でも沢山の人たちの努力があって、私たちは今、こうやって学校に通って勉強させてもらえる

としみじみ思った。


最後はシベリアの地で遊牧民の子どもたちと。

子どものいるキャンプを転々と移動して、一定期間勉強を教える。

雪深い中、沢山のトナカイを率いて学校に必要なものを運び

移動した先ではテントを立て、そこが学校となる。


雪深い中で何百キロも移動していく。

何も目印のない大雪原の中、トナカイをあやつり

どうやって目的地をめざすことができるのだろう?

(海原を進む船乗りのように、コンパスを頼りにしているのかな?)

想像を絶する寒さの中を移動するのだから、命の危険とも隣り合わせなんだろうな

ということも想像できる。

本当に大変だけれど、でも子どもたちに勉強を教えることは大事だから

どんなに大変でも自分はやめない、という先生。


子どもたちは公用語であるロシア語を話すが

先生は自分たちの祖先の言葉や文化も伝えたい、と奮闘する。

自分たちが何者であるのかを知るのはとても大事なことだと思う。

でも子どもたちは祖先の言葉であっても、日常生活では触れることがない言葉はつまらない。

どうしたら興味を持ってくれるだろうか、と考え、今までのやり方を変える。

私は「なくなりそうな世界のことば」の本を思い出した。

こういう人たちのおかげで、なくならないでいる言葉があるんだな。


高校までの勉強は、受験のための勉強だったりして楽しいものではなかったけれど

大学では「おもしろいな」と思うことを勉強できた。

社会人になった今でも、興味を持ったら本を読んだり講座を受講したりしている。

学ぶことはお金には直接直結しないことの方が多いけれど

自分の内面に深みをもたらしてくれる。

学ぶことの大切さや面白さを知っているから、映画に登場した先生たちは

自分自身の困難さと引き換えにしても

子どもたちに学びの環境を与えることを惜しまないのだろう、と思った。


彼女たちに密着して撮影した映画スタッフも大変だっただろうな、と思ったり

子どもたちへの学びに必死になる先生が三人とも女性であったのも私は嬉しかった。


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