2019年4月12日金曜日

東京大学祝辞に思うこと

平成31年度東京大学入学式での祝辞
いろいろな受け取り方があると思うけれど私はすごくいいと思った。

子育てしていて、子どもたちがすごく頑張っても報われなかったことはいっぱいあったし
多分、社会に出たら理不尽なことはもっと沢山ある。
そして、頑張って報われたことがあったら、それは環境のおかげだということも。

高校の入学式の保護者挨拶でもあった「これからは答えのない時代になっていく」ということ。
震災後はいろんなことが変わった。
今までは誰かの言うとおりにしていればよかったけれど
震災後は、自分のことは自分で決める、自分が調べて納得して決める。
誰かに言うように行動して、その結果失敗したとしてそれを責めるのは違う、と思った。
これからは答えのない時代だし、自分のことはちゃんと自分で責任を持って考える。

そして大学で学ぶ意味。

まずは「生きる」。
それから、どんどん広い世界に飛び出していくこと。
想定外のことがどんどん起こってくるとしても
様々な立場や環境の人たちと協力し、未来を切り開く知恵と勇気と体力を。


東京大学祝辞より抜粋


あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。

ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。

そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。

あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。

世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。

これまであなた方は正解のある知を求めてきました。

これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。

学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです。

学内にとどまる必要はありません。東大には海外留学や国際交流、国内の地域課題の解決に関わる活動をサポートする仕組みもあります。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。

異文化を怖れる必要はありません。人間が生きているところでなら、どこでも生きていけます。

あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。

大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。

知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。

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