2019年4月6日土曜日

桜餅 みんゆう随想21

  桜餅が美味しい季節になりましたね。結婚して気づいたのは東日本と西日本の食文化の違いです。いわき育ちの私。主人の両親は東京での生活の方が長いものの、生まれ育ったのは岡山です。
 義母が東京に出てきて驚いたのはうどんのつゆの色。飲食店でうどんを注文したら黒いつゆにうどんが入っていて、コーヒーの中にうどんが浮いているのかと思ったそうです。その話を義母から聞いたとき、私は中学生の頃に父と名古屋に行ったことを思い出しました。駅前で食べた初めてのきしめん。つゆが透き通っていたので薄味の味付けを想像して口に入れると意外に味がしっかりついていて、それが私好みの味だったのでひとくちできしめんが好きになりました。
義母とはよくお茶を飲みながら美味しいものをいただき、いろんな話をしました。そして私が普通だと思っていたものが、実はそうではないことが他にもあると知りました。桜餅もそのひとつです。
 桜餅といえば私は水で溶いた小麦粉の生地を薄く焼いてあんを巻いたものを想像します。ですが義母にとって桜餅といえば、あんを蒸した道明寺粉で包んだもの。私が道明寺と呼んでいるものが義母にとっての桜餅だったのです。私が桜餅だと思っていたものには長命寺という名前がありました。ちなみに私は断然、道明寺派。もち米でできたつぶつぶの部分が好きです。
 それでは西日本では道明寺が桜餅と呼ばれているのかと言われれば一概にそうともいえないのです。私は高校3年間を島根県松江市で過ごしました。友達と街に買い物に行ったときに老舗の和菓子店の店先に「桜餅あります」という言葉を見つけて購入したことがありました。でもそこで販売されていた桜餅は道明寺ではなく長命寺でした。
 インターネットで検索してみると、桜餅の違い日本全国での分布図などを解説したページが沢山ありました。それらによると全国的には道明寺を桜餅と呼ぶ地域の方が優勢で、長命寺派は関東圏と東北の一部に限られていました。この分布結果には驚きました。面白いことに西日本はほとんどが道明寺なのになぜか私が住んでいた島根県は長命寺。岡山出身の母を持つ主人と一緒にならなければ、私は桜餅が二種類あるとは知らなかったかも。

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