もうだいぶ前に読んだある雑誌の、鈴木真砂女さんのインタビュー記事。
真砂女さんの2番目のご主人のことをふと思い出した。
最初のご主人は花札賭博が原因で行方知らずになったので離縁して実家に戻る。
実家は旅館業を営んでいて、旅館の女将でありお子さん4人もうけた実姉が亡くなり
旅館業は女手が必要なので、両親に乞われて義兄と結婚して4人の子どもの母となり
実家の家業を継ぐ。
でもお客さんとして旅館にきた海軍の航空士官を好きになり、その人を追いかけて長崎へ。
でも日中戦争でその人は戦地に赴き、知らない土地に1人でいてもしようがない、と東京に戻る。
(その人とはその人が亡くなるまでの40年、お付き合いが続いたそう)
家出から戻ってくるとご主人は何も訊かず、2.3カラットのダイヤを買ってくれて。
浮気してから20年目、ご主人が中風にかかって
とうとう親戚から「家を取るか裸で出ていくか」迫られて
「裸で出ます」と答えて家を出たという。
でも彼が死んだ時よりもご主人が死んだ時の方が涙が出た、と。
二度結婚して二度離婚して、不倫をして東京に出てきたけれど
自分を一番愛してくれたのは二番目の夫で
自分はそれに応えられないで家を出てあの人を苦しめた。
だから死んだ時、泣かずにはいられなかった……。
2番目のご主人はどんな思いで過ごしていたんだろう。
どうして何も言わず(私だったら恨み言の一つや二つはぶつけただろうと思う)
ダイヤの指輪を買ったんだろう。戻ってきてくれて嬉しかったのかな。
性格が正反対だから気に沿わぬ結婚だったと真砂女さんはいう。
それでもきっと、二番目のご主人はすべてを受け入れて真砂女を愛していたんだろうな。
すごく大きな愛。
だから真砂女さんも、ご主人への気持ちを受け入れたんだろうな。
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