2017年7月10日月曜日

父と母のこと くらし随筆11

 絵本美術館(私立幼稚園の附属施設)の園長先生からお話を伺うことがありました。絵本美術館を創設された前園長先生と母の境遇が似ていたので親近感を覚えたのと同時に幼い頃のことや両親のことを思い出しました。

 祖父は母を銀行員にしたかったそうですが、母は夢だった小学校の先生になりました。その後、父と出会い母は家庭に入りました。
 私が幼かった頃、家には絵本が沢山ありました。ベストセラーといわれる絵本を見ると「あ、この絵本、うちにあった」と思うものばかりです。
 そのおかげか私は本を読むことが好きでした。私が中学校で国語を教えることになったとき、母はポツリと「お父さんも本当は国語の先生になりたかったのよ」と言いました。 

 父は中学生の時に父親を亡くし、大学生の時には母親が病に倒れたので家業を継ぐために大学をやめて地元に戻ってきたのだと聞いていました。父は本当は何になりたかったのかを聞いたことはありませんでした。あの時父は何も言わなかったけれど、心の中で父は喜んでいたのかな、と思います。

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