2019年6月24日月曜日

魔法の夜 みんゆう随想23

 「座敷わらしの宿」として最近テレビで紹介されている「タガヤマ村」。ホームページを見ると宿泊の予約は一年先までいっぱいです。山形県にある古民家を丸ごと一晩借りることができます。
 もう十年以上も前になりますが、ここに宿泊したことがあります。当時は今ほど予約も混み合っていませんでした。私が提案した旅行で、大勢で泊まるのにいいだろうと兄が見つけてくれたのでした。
 山形への旅行は当時小学生だった我が家の子どもたちの、運動会の振替休日を利用しました。その年のゴールデンウィークに「自分たちのルーツをたどる旅」と称して主人の父方の祖母に会い、父方の祖父と母方の祖父母のお墓参りに子どもたちを連れて行った話は
以前にこの随想で紹介しました。今度は私の父の祖父母のお墓参りと、祖父母のゆかりの地を巡ることにしました。(母方の祖父母はいわき市内出身)
 両親と私の兄妹にも山形行きの話をすると「それならばみんなで行こう」という話になりました。私は9人兄妹で仕事や学校で参加できない人もいましたが、兄や妹、結婚している妹3家族、私の母方の祖母、総勢20人での旅行になりました。
 「タガヤマ村」の母屋は昔ながらの古民家で、土間やかまどがありました。外にある蔵の二階には蚊帳が吊ってあり、庭の木の上にはツリーハウス、納屋の中には卓球台がありました。母屋にもアンティークの家具や古いテレビ、ふくすけ人形が置いてあり、昭和の時代にタイムスリップしたようでした。
食事は台所があったので炊飯器やお米、食材などを持ち込み、わいわいガヤガヤと実家でご飯を食べるときのようににぎやかに食卓を囲みました。お風呂はついていましたが、みんなで入るには時間がかかるので近くの銭湯に行きました。
タガヤマ村」での一番の思い出は、父が祖父の話をしてくれたことです。父が中学生の時に亡くなったので母も祖父のことは知りません。母が仲人さんから聞いた話をしてくれたり、伯母たちの話で祖父の姿を想像するだけでした。あの夜、いつもは口数の少ない父が嬉しそうに私たち兄妹に祖父の話を聞かせてくれました。座敷わらしには会えなかったけれど、とても幸せな夜でした。












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