2014年10月7日火曜日

「はじめての児に」 吉野 弘

お前がうまれて間もない日。

禿鷹のように
その人たちはやってきて
黒い皮鞄のふたを
あけたりしめたりした。

生命保険の勧誘員だった。

(ずいぶん お耳が早い)
私が驚いてみせると
その人たちは笑って答えた。
〈匂いが届きますから〉

顔の貌(かたち)さえさだまらぬ
やわらかなお前の身体の
どこに
私は小さな死を
わけあたえたのだろう。

もうかんばしい匂いを
ただよはせていた というではないか。
          

詩集『消息』より

2014年10月6日月曜日

宿泊活動

末っ子の学年は宿泊活動を控えている。
先日、学校に用事があって行ったら
音楽室から子ども達の元気な歌声が聞こえた。
キャンプファイヤーで歌う曲だとすぐに分かった。
他にも様々な活動で歌う歌があるらしく
いろんな歌の練習をしていた。

子ども達の歌声から、宿泊活動が楽しみで楽しみで仕方がない
という気持ちがよく伝わってきた。
楽しんでこいよー、と心の中で子ども達に呼びかけた。

2014年10月5日日曜日

末っ子は甘えん坊でもいいのだ

9人兄妹の私。
一番上の兄と一番下の弟は17歳の差がある。

末っ子の次男がいつまでも母親に甘えている姿を見ると姉たちが冷やかしたものだ。
そうすると母は言う。
「お兄ちゃんとは17歳も違うのよ。
お母さんと一緒にいる時間はお兄ちゃんと比べたらこの子は17年も短いんだから
その分いっぱい甘えるでしょ。」って。

ああ、そうかと思った。
我が家も一番上と一番下では4年も違いがある。
17年に比べれば4年は短いけれどされども4年。
我が家の末っ子も甘えん坊だ。
でも甘えん坊でもいいんじゃないか、そう思う。

2014年10月4日土曜日

ヘルスメーターのこと

愛用していたアナログのヘルスメーターが壊れたので
デジタルタイプのヘルスメーターを購入した。

体重だけでなくBMIや体脂肪、筋肉量や体内年齢なども計測してくれる。
個人のデータも蓄積して、前回のデータと比較してくれる。

しかし……。
家族に体重を公表していない私。
個人データを登録すると前回のデータを誰でも見ることができるので
結局私だけデータを登録していない。

登録しないとBMIや体脂肪、筋肉量や体内年齢などは計測してくれないから
結局、デジタルのヘルスメーターを買っても
私は体重を計測するだけにとどまっている。
ああ、もったいない。

2014年10月3日金曜日

「最初の質問」  長田弘

今日あなたは空を見上げましたか。
空は遠かったですか、近かったですか。
雲はどんな形をしていましたか。
風はどんなにおいがしましたか。
あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。
「ありがとう」という言葉を今日口にしましたか。
窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。
雨の滴をいっぱいためたクモの巣を見たことがありますか。
樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ち止まったことがありますか。
街路樹の木の名前を知っていますか。
樹木を友人だと考えたことがありますか。
この前、川を見つめたのはいつでしたか。
砂の上に座ったのは、草の上に座ったのはいつでしたか。
「美しい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。
好きな花を七つ、挙げられますか。
あなたにとって、「わたしたち」というのは、だれですか。
夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。
ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。
何歳のときの自分が好きですか。
上手に年を取ることができると思いますか。
世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。
今あなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聞こえますか。
沈黙はどんな音がしますか。
じっと目をつぶる。すると何が見えてきますか。
問いと答えと、今あなたに必要なのはどっちですか。
これだけはしないと、心に決めていることがありますか。
いちばんしたいことは何ですか。
人生の材料は何だと思いますか。
あなたにとって、あるいはあなたの知らない人々にとって、
幸福って何だと思いますか。
時代は言葉をないがしろにしている
あなたは言葉を信じていますか。

2014年10月2日木曜日

主人と息子の名前のこと

主人と息子の名前は一文字違い。
子ども達の名前は易学の先生に考えていただいた。

娘の名前のときは「こんなのがいいかな」「あんなのがいいかな」といろいろ考えて
「こんな名前がいいんです」と先生にお伝えしたところ
私のつけたい名前のイメージを理解してくださり
ぴったりの名前を考えて下さった。

息子の時は、男の子の名前というと全然思い浮かばず
「男らしい名前がいいです」と先生にひと言お伝えしただけ。
そしたら「お父さまの名前から一文字いただいて、こんな名前はどうでしょう」
と考えて下さった名前がすごくかっこよくて
二人で「これにしよう!!」と即決しました。
私の父は「名前負けするんじゃないか?」と心配していたけれど。

で、主人と一文字違いの名前なので
時々息子の名前を書かなければいけないところに
ついつい主人の名前を書いてしまう私。
途中で「あ」と気づけばいいのだけれど。

一昨日は息子が忘れた水筒を学校に届けたのだけれど
思わず主人の名前を書いていたらしく
「これ、名前違ってたよ」と水筒に貼り付けられた
私が書いた忘れ物票の名前を見せてくれた。
大きく主人の名前が書いてある……。
ああ、おっちょこちょいな母親です。

2014年10月1日水曜日

神在月のこと

私が高校生活を送ったのは島根県松江市。出雲国。

10月は全国の神様が出雲大社に集まって会議をするので
出雲国では10月を神在月というけれど
それ以外の国では10月を神無月と呼びます。

今日から10月。
松江から引っ越しても当分の間は神在月という言い方が抜けなかったなぁと思い出しました。