2019年5月16日木曜日

私の母校 みんゆう随想21

 先日、いわき市小名浜にある三崎公園に行きました。色とりどりのツツジが見事に咲いており、隠れた名所を見つけたと嬉しくなりました。
 私が高校三年間を過ごした島根県松江市にある母校もツツジがきれいでした。松江駅からバスで三十分ほどゆられ終点まで行った松江市南郊の大庭(おおば)地区に学校がありました。 
 校門から急傾斜の坂を上って校舎へと向かうのですが、道の両側にツツジが植えられており、今の季節はピンク色の花を咲かせます。葉の緑色が花のピンク色を一層鮮やかに際立たせてとてもきれいでした。
 学校の屋上に上がると宍道湖(しんじこ)が遠くに見えました。学校の周りは田園風景が広がり、屋上から見ると初夏は緑、秋は黄色の絨毯が広がっているようでした。
 通っていた当時は何もない田舎だと思っていましたが、学校の下には「神魂(かもす)神社」という出雲大社よりも四百年古く、出雲大社と同じ大社造りの神社や、古墳や資料館のある「八雲立つ風土記の丘」がありました。その昔、大庭地区は古代出雲の中心地だったそうで、島根県を代表する文化財(史跡や社寺等)が集中しています。また十月は全国の神様が出雲大社に集まるという伝説から出雲以外は「神無月」と呼びますが、出雲では十月を「神在月(かみありづき)」と呼んでいました。
 私が二・三年生の時にお世話になった寮の近くには「八重垣神社」がありました。ここは日本神話に登場する櫛名田姫(くしなだひめ)が八岐大蛇(やまたのおろち)から身を隠していた場所といわれ、八岐大蛇を退治した須佐之男命(すさのおのみこと)は日本最古といわれる和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻込みに 八重垣造る その八重垣を」と歌い二人は夫婦になりました。この歌が出雲の国名の由来といわれています。 
 この神社では鏡の池”で恋占いができます。社務所で売られている薄い半紙の中央に小銭をのせて池に浮かべるとお告げの文字が浮かびます。紙が遠くの方に流れて行けば遠くの人と縁があり、早く沈めば早く縁づくといわれています。私も友達と一緒にやったことがありました。どんな結果だったのか今はもう覚えていませんが、東京育ちの主人と出会うきっかけは私がこの島根にある高校に通っていたことでした。縁とはとても不思議なものだなとつくづく思います。

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