文字。当たり前すぎて、あって当然のものだと思っていました。
文字のない時代。文字があっても読めない、書けない、そんな人がいた時代。
おばあさんのしんぶん や タカラハコ に登場するお母さんたちが
文字が読めて書けることが実はすごいことなんだと教えてくれます。
この本を読んだときの感動が蘇りました。
まず一つに、“字”というものがある。それがどのようなものであるかは、父ですら知らない。が、それは、言葉を凍らせ、言葉をそのまま保存し、遠方へ、また、時をへだてた遠い未来へ運ぶ魔術である。“字”というものさえわきまえておけば、遠い異国に住むものの考え、昔の人の知識を知ることができる。神々の間には、その“字”を集めた“本”というものがあり、それを使う術さえおさめれば、今の人間でも、遠い昔、神々の考えたことをそのまま知ることができる。
ラビリンス迷宮 新井素子
おはなしの中に登場する世界には文字がありません。
英知の神の申し子といわれる賢い娘は「文字」というものがあることを知って
文字を知りたくて知りたくてたまらない。
どうしてそんなに文字を知りたいのかが書かれている一節です。
話し言葉しか持たなかった人たちが書き言葉である「文字」を手に入れたときの感動と喜びは
どれほどのものだったか……。
子ども達の宿題をみることがあるのだけれど
漢字の書き取りや、字を書くことが面倒だという子どももいます。
そういえばうちにも漢字の書き取りがあんまり好きじゃない子がいたな。
でもそんな子ども達を見ると、字を読んだり書くことができなかった人たちがいることや
文字が存在しなかった時代は古事記が口伝えで伝えられてきたように苦労したこと。
文字がどんなに素晴らしい発明品だったのか、熱く語りたくなる衝動に駆られます。
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