習い事にしても、一生懸命頑張っても結果が思うように出ないことがある。
でも、練習することは結果のためにするのではなく
「心の石を磨くこと」だと思って取り組めば……。
イチロー、心の石輝く
米大リーグ・マーリンズのイチロー外野手がまた一つ、高い頂へと登った。ひたすら野球に打ち込む求道者のような42歳の大リーグ最年長野手について、かつてダイエー(現ソフトバンク)の中心打者としてオリックス時代のイチロー選手と切磋琢磨(せっさたくま)し、現在は野球日本代表「侍ジャパン」の監督である小久保裕紀さん(44)に語ってもらった。【聞き手・神保忠弘】
4257本……同じ野球人ながら、次元が違いすぎてピンとこないほどすごい数字だ。
イチローについて忘れられない思い出がある。私はプロ2年目の1995年にパ・リーグの本塁打王になった。勘違いして、てんぐになった。おかげで翌96年のシーズンに入ると成績は散々。一方でイチローは3年連続の首位打者にばく進していた。
その年のオールスターゲーム、外野を2人でランニング中に彼に聞いた。「モチベーションが下がったことないの?」。するとイチローは私の目を見つめながら「小久保さんは数字を残すために野球やっているんですか?」と言った。「僕は心の中に磨き上げたい石がある。それを野球を通じて輝かしたい」。自分はなんと恥ずかしい質問をしたのかと、顔が赤くなった。彼の一言で「野球を通じて人間力を磨く」というキーワードを得た。
以来、彼と食事に行くときは手帳を横に置いて、気になった言葉をメモしている。例えば「準備の準備」という言葉。準備に入る前に、その準備をする。それほど自己管理が徹底しているからこそレギュラーでなくなった今でも、パッと試合に出た時にあれだけ打てる。試合に出て当たり前だった選手が出られない葛藤は計り知れないはずだが、それでも準備を怠らない。
人間は「この人には勝てない」と思った時に初めて謙虚になれる。イチローは2歳年下だけれども、私にとってそういう存在だ。
私は今「侍ジャパン」の監督を務めている。来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で彼が侍ジャパンに加わるか、こればかりは彼と腹を割って話さないことにはわからない。ただ、日本球界のために力を貸してほしい気持ちはある。大谷(翔平=日本ハム)や山田(哲人=ヤクルト)、柳田(悠岐=ソフトバンク)らも、イチローと接し、話を聞けば、自分の甘さに気づいたり「もっとやれることがあるのでは」と考えたりするきっかけになるだろう。
日本のトップ選手に「すごい」と思わせ、さらにレベルを引き上げられるのはイチローしかいない。
日本のトップ選手に「すごい」と思わせ、さらにレベルを引き上げられるのはイチローしかいない。
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