念願叶って行ってきました。
多分、ネットで知ったのかな?もう何年も前から行きたいと思っていました。
壁には今まで参加された方の写真かな?木の形になって貼り付けてありました。
今回は「暗闇の中の列車に乗って出かけよう。さぁ、能登へ!キハ40に乗って春の旅」
ダイアローグ・イン・ザ・ダークとは
視覚障がい者のアテンドで暗闇を体験するエンターテインメントです。
壁には今まで参加された方の写真かな?木の形になって貼り付けてありました。
すごくワクワクする‼
という内容のイベントでした。
能登に関するいろんな資料が壁に展示されていました。
開始時刻になり、入り口に集合しました。
アテンドしてくれるのは視覚障がい者のあっけちゃん。
「能登に行ったことある人、いる?」と聞かれて手を挙げる私。
後ろにいたスタッフが「お一人、手を挙げていらっしゃいます」
いつもだったら手を挙げれば「あ、一人いるな」と質問した人は分かるので
私は何気なくそうしたのですが、あっけちゃんは視覚障がい者なので見えません。
「あ、しまった……」と思う私。
「ここにポスターが貼ってあるんですが、私には見えません。どんなポスターですか?」
と参加者に聞くあっけちゃん。
8名の参加者のうち3組はご夫婦もしくはカップルで、3組とその他に私ともう一人
そこで初めて会ったばかりだからちょっとみんなよそよそしくて
積極的に声はあがらなかったのだけれど、あっけちゃんがテンポよく質問してくれるので
海に面した棚田と海辺で鬼の面をつけた人たちが和太鼓をたたいているポスターである
とあっけちゃんに伝えることができました。
そして驚くことに「今日は暗闇の中でみなさんとこの風景を楽しみたいと思います」というのです。
暗闇で、どうやって?と私は思いました。
そして扉の入り口の前にある箱の中からそれぞれ白杖を一本ずつ手に取り
入り口の奥に入っていきました。
入り口に入ってだんだんと照明を落としていき、最後は真っ暗闇に。
純度100%の暗闇、と書いてあったけれど目を開けても目を閉じても変わらない
とにかく真っ暗闇。
暗闇の中ではお互いの声だけが頼りです。
あっけちゃんから「それぞれ、みんなから呼ばれたい名前を言ってください」と言われて
一人ずつニックネームをいってから旅が始まりました。
しかしあんなにずっと行きたいと思っていたのに開始1分で
「あ、来るとこ間違えた~。帰りたい~」と思いました。
人工的な暗闇、怖すぎでした。
8人の参加者が視覚障がい者であるアテンドさんの声と白杖を頼りに1時間半の旅です。
アテンドさんと参加者の声、音、白杖から伝わる感触、足元の感触と
白杖を持っていない手で周囲を触ったりして進んでいきます。
同じ部屋でも明るかったらきっと歩幅も大きく、なんの心配もなく歩けるのでしょうけれど
真っ暗闇なのでとにかくみんな周りを気にしながら、歩幅も小さく、白杖で周りを確認しながら
恐る恐る進みます。
とにかく見えないので他の参加者にぶつかったりしますが
明るかったらきっと「すみません」って小さく会釈するのでしょうけれど
ここでは声を出さないと相手には伝わりません。
だから積極的に声を出して「すみません」と言うのです。
そして誰が誰にぶつかったのかすらも分からない、そんな状況です。
最初は公園のような場所に行って、ブランコがあって
みんなでベンチに座っておしゃべり。
でも暗闇なのでどこにベンチがあるか分からないので
みんな周囲を触ってみて「あ、ここにある」とベンチに座ります。
「みんな、座れた?」「はーい」「○○、まだ座ってないです」「あ、ここ、私の右隣空いてますよ」
声を積極的に出して、お互いの名前を呼び合いながらコミュニケーションします。
それから暗闇の中でじゃんけん列車をしました。
隣の人に声をかけて「じゃんけんしよう」「最初はグー、じゃんけん!!」
そしてお互い手を出しながら「パー」とか「グー」といい
負けた人は勝った人の背中に手をやり、最後はみんな一列に。
暗闇の中でもじゃんけん列車ってできるんだ~。
そして「今度は実際に走っていた列車に乗るよ」とあっけちゃん。
手で周囲を触りながらみんなで列車に乗り込み、それぞれ座席に腰を下ろします。
背もたれとか、窓のかんじを手で触って感じます。
古いタイプの列車かな?というのが分かりました。
この列車は実際に運行していたそうで、キハ40というタイプの車両だそうです。
さぁ、列車に乗って能登に出発!!
能登に着くと竹の生垣がある道を通り、今度はさっきより低い位置にある椅子に座りました。
視覚が使えない分、全神経を集中させます。ここちよい風が吹いていて、波の音が聞こえます。
耳を澄ますと、入り口のところに貼られていたポスターにあった
和太鼓の力強い音が聴こえてきました。
あっけちゃんがこの御陣乗太鼓についての話をしてくれました。
次は広場に移動して円になって座ります。
暗闇であっても、お互いの声や気配でなんとなく円形になれるんですよね。
後ろにはちょっと小上がりになっていて、ちゃぶ台が置いてある畳敷きのスペースがあるそうな。
心地よい風を感じながら、入り口に貼ってあったポスターの棚田の風景を思い出し
あっけちゃんにそれがどんな風景だったのか、みんなで話します。
暗闇であっても、目が見えなくても、こうやって旅ができるんだなぁと思いました。
旅といえば美味しい食べ物があると嬉しいよね、ということで
能登での美味しいものをみんなで食べました。
のトニックといういちぢく味の炭酸飲料や能登のママがつくったドーナツ、ほうじ茶など
好きなものを選びました。
あらかじめ受付の時点で「小銭を持ってお出かけください」といわれていたので
私も両替してもらってポケットに小銭を入れておきました。
暗闇の中でもあっけちゃんが集金をして、自分が希望したものをいただきました。
このころになると私たちもだいぶ暗闇には慣れてきましたが
のトニックは瓶に入っていたものの
ほうじ茶はあっけちゃんが暗闇で紙コップに淹れて
その紙コップを暗闇で受け取って自分の口元に運ぶ、という
なかなか上級者のテクニックが必要なことでしたが
お一人それに挑戦した方がいて、無事に美味しくいただけたようです。
私はいちぢくサイダーとドーナツをいただきました。
暗闇でお茶会!!なんて初めて~。楽しかった。暗闇でいただいたお菓子は格別でした。
ダイアローグ・イン・ザ・ダークに申し込みをしたときに
能登への応援として「現金としてお小遣い(200円~1000円程度)をご用意ください
収益の一部を能登復興の支援金に使わせていただきます」という案内があって
どういう形でこのお小遣いを使うのかな?と思っていましたが
こういうスタイルだったとは!!なかなかスマートだなと思いました。
お茶会が終わるとほどなくして旅は終わりました。
他の参加者とは初対面だし、最初は怖くて仕方がなかったのですが
暗闇だと不思議にみんな優しくなれるというかへんなバリアがなくて
一気に心の距離が縮まって、それもまた不思議な体験でした。
みんながお互いを気遣って、その気遣いがあったかくて嬉しくて
暗闇の中でも十分に能登への旅行を楽しむことができました。
視覚障がいがあるってどんなだろう?
私のお気に入りの絵本に「どんなかんじかなぁ」があります。
想像するだけじゃなくて追体験することができるのなら、そう思って参加しました。
旅から帰ってきて、参加者があっけちゃんにした質問を聞いて
(どうして暗闇の中でお茶をこぼさずに淹れることができるのか、とか
今、スタートしてから何分くらい経っているのか、時間はどうやって把握しているのか、など)
自分の今体験してきたことを思い出しながら
視覚障がい者が日々、どう世界を感じて生活しているのか
ちょっとだけ体験することができました。
本当に不思議な不思議な感覚になれるので
暗闇のエンターテインメントとしても十分に楽しめるし
また行きたいし、いろんな人にあの不思議な体験をしてもらえたら、と思います。
期間限定で聴覚障害者と行くサイレンスや高齢者と行くタイムの回もあるので
それも行ってみたいと思います。
暗闇で飲んだのトニックがどんなものだったのか見てみたくて
他の方は会場で回収(ゴミ箱が隣の人から回ってきて自分もまた隣の人に渡していく)
してもらったのですが
私は持ち帰ってきました。
普段はめったに自分用のお土産を買わないのですが
今回は手ぬぐいがあったので参加した記念に買いました。
ちなみにお土産のコーナーでは素敵な会津漆器も取り扱っていてちょっと嬉しかった。
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