キッズ★アリぺvol.106、107、108 に掲載されたものです。
5/21、はまどおり大学主催はまちる勉強会があり、いわき市医療センター 未熟児・新生児科の医師本田義信先生より「お母さんと赤ちゃんの絆から考える育児アドバイス」というタイトルでお話いただきました。先生はNICU(新生児集中治療室)での治療を主にされていますが、妊産婦のカウンセリングもされています。というのは女性は子どもを出産するとすぐに母親になれるわけではないからです。出産後、女性が母性をはぐくめるように、そして赤ちゃんとママに絆ができるようにサポートしています。またNICU退院後の子育ても見据えて、ママと赤ちゃんのフォローやカウンセリングを行っています。沢山の親子を診てきた先生からもっと子育てのことを教えていただきたい、とお話を伺いました。
本田先生流 育児の三原則
先生の育児の三原則は「育児は一生懸命やらない、適当にやる、手を抜く」。私はこの言葉を聞いてぽかーんとしてしまいました。私自身三人の子どもがいますが、妊娠出産を振り返ると「子どもが生まれたらこうしたい、こんな母親になりたい、こんな子どもに育てたい」そう思ってワクワクしながら出産を迎えたので、当時にまた戻れたとしてもこの三原則はできないと思いました。ですが最近の育児は親が一生懸命すぎるために子どもが窮屈になってしまい、かえって手を抜いて、大変なときは周囲に助けを求めて、時には弱音を吐くくらいが親にも子どもにもちょうどいい、いいあんばいの子育てになるということでした。「親」という文字は“木の上に立って見る”と書くでしょ、と先生。ちょっと離れたところから見守るくらいがいいということでしょうね。
習い事・勉強のこと
習い事や勉強に関しても、親が一生懸命になりすぎていませんか?私自身も、子どもが希望した複数の習い事をさせました。勉強もできないよりはできたほうがいい、と子育ての本を読んだりネットで検索したり、一生懸命な母親でした。私は現代社会の呪縛にかかっていたのかもしれません。先月、私がFacebookでフォローしている臨床心理士の武田信子先生が「やりすぎ教育」という本を書かれたのですが興味がありつつも「私のことだ」と思うのでまだ読むことができていません。
我が家の子どもたちは大学生と高校生です。私の当面の子育ての目標は「メシが食える大人にする」。やがては結婚して家庭を持つでしょうから、家族を養っていける収入を得られるような仕事を見つけて自立して欲しい、と思っています。でもそれは心が健康であることが前提だと先生のひと言で気づかされました。最近は心の健康を失って仕事ができなくなる人もいます。じゃあその心の健康はどうしたら手に入るでしょうか?習い事や勉強などで好成績をおさめさせたいと親がやりすぎてしまうことが、やがて子どもの心に影を落としてしまうかもしれません。子どもが大人になった時の幸せを、私は今まで考えてこなかったなと思いました。
メディアとのつきあい方
SNSヘビーユーザーの私でも、やはり子どものとメディアとの付き合い方については気になっていました。メディアはあまりいい影響を及ぼすものではないことは分かります。かといっても現代社会でスマホやパソコンを親も子どもも一切使わないことはできませんよね。ではどうしたらいいか。どんなに小さな子どもでも相手の気持ちを想像するのだそうです。でもメディアはその機会を奪ってしまうので、コミュニケーションをとる機会をつくることが大事なのだそうです。一緒の番組を見て感想を語り合ったり、登場人物の気持ちを想像してみる。また朝や夕方の、お母さんが忙しい時間帯に子ども向けのテレビ番組が放送されるのは、その時間はお母さんたちが家事ができるようにするためじゃないのかな、(本当はメディアはよくないけれど)その時間は子どもにテレビを見せてもいいのでは、というお話でした。もちろん、テレビや動画などを見たいだけ見せるというのはよくありませんよね。お子さんが喜んでも制限しましょう、ということでした。
お父さんができること
お母さんが育児に集中できる環境をつくること。お父さんは自分のことは自分でする、など。そしてお母さんが赤ちゃんから離れる時間を確保すること。時には赤ちゃんを預かってお母さんが外で気分転換できるように、また実際にできなくても「行って来たら」と声をかけるだけでもいいのだそうです。お母さんのテンションをあげられるのはお父さんしかいませんよね。
発達障害について
自分の特性をのばして社会で活躍している人もいます。周りの許容限度もありますが、発達障害であっても本人が困っていなければいいのでは、ということでした。また発達障害の症状について教えていただきました。オンライン版のキッズ★アリぺで詳しくお知らせしたいと思いますのでそちらをご覧ください。
まとめ 先生のお話から私が思ったこと
子どもの志を育てよう
先生のお話から思い出したのは幼児教育の七田メソッドのことです。以前本を読んだのですが「人は自分でなければ果たせない使命を持って生まれてくる。今、学び、身につけていく能力を自分だけのために使うのではなく、周りの人たちのために使うこと。大きくなって人の役に立つ仕事をすること。そのために今、勉強をする。将来、人に尽くすために自分は何をしたいのか、早いうちから夢や志を持たせる子育てを」と書いてあり、ステキな考え方だなと思いました。
十人十色
私は、色とりどりのカラフルな色鉛筆のように人はみなそれぞれに美しい色を持っていると思っています。世界はひと色ではなくさまざまな色があるから美しいように、いろんな人がいるからこそこの世界は変化に富んでいておもしろいのだと思います。子どももそれぞれ与えられた使命が違えば、それを全うするために授けられた能力も違うのではないでしょうか。
他人の芝生は青い
本田先生のお話と全く同じではないのですが、親野智可等(おやのちから)先生の講演会の言葉も思い出しました。“他人の芝生はいつも青いので子どもを比べないようにしましょう”。親野先生は元小学校の先生で現在は教育評論家として活動しており、親と子の関係が悪くならないような子育てを提案しています。親野先生が平成26年に小名浜東小学校で文化講演会でお話しくださった内容を書き起こし、いわきこどもプロジェクトのブログにアップしたものがありますので(親野先生からは許可をいただいています)興味のある方はご覧ください。
「甘える」と「頼る」は違う
人に頼ることが苦手な私ですが、先日「甘える」と「頼る」は違う、という話を読みました。相手に対して申し訳ないと思うからなかなか他人に頼れない。もらうばかりが「甘える」でもらったら与える(お返しする)のが「頼る」。頼られた方も嬉しいし、そうやって人間関係が継続していくのではないか、と。それを読んで今まで自分の中で考えすぎて一人で頑張っていたけれど、大変なときは人を頼っていいんだな、と思いました。
私はSNSで子育て支援をしている人や団体の情報を発信するときにこのハッシュタグを使います。私の中で“子育て応援団”は両手を広げてニコニコしながら困っているお母さんを受け止めてくれる、そんなイメージです。核家族が増えた現在、お母さんは一人で子育てに奮闘しがちですが、今は“子育て応援団”がいます。市内で子育て支援の活動をしている方は「自分は子育てで苦労したけれども後から来るお母さんには自分のような大変な思いをして欲しくない」という思いで活動している方ばかりです。だからどうぞ頼ってください。
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