2019年12月7日土曜日

綾瀬マリアさんにお話を伺いました

2020/1/7 ログスペースしんわ
冬休み声優体験講座 ~憧れの職業を体験しよう~
の講師をされる綾瀬マリアさんにお話を伺いました。

綾瀬さんにはあそび工房でも絵本の読み聞かせをしていただいています。
TwitterFacebookの綾瀬さんのプロフィール欄には
声優、ナレーター、朗読インストラクター、書道家であり神戸出身でオランダ育ち
と紹介されており、一度ゆっくりお話を伺いたいと思っていました。
(あそび工房で一緒に活動する中で音楽大学の声楽科を卒業されたことも知りました)


声優になるまで

今回の1/7の講座は、声優に興味はあるけれども高校には演劇部しかないし
習いに行く場所がない・・・・。
そんな子に参加してもらえたら、ということでした。
地方に住んでいるとどうしても選択肢は限られてしまいますよね。

綾瀬さんは大阪にある音楽大学の声楽科を卒業されましたが
もともと音楽大学を目指していたわけではないそうです。
声優(女優)になりたいと思っていたそうですが
神戸在住だったので近くに声優の養成所はありません。
オペラは役者、音楽、舞台、さまざまな要素が含まれており総合芸術と呼ばれます。
それならオペラを学んでから声優になろうと考えて音楽大学に進学したそうです。

大学の1,2年生の間に取得できる単位はほとんど取得し
二十歳を過ぎてからは東京と大阪(大学)を往復する生活。
東京・大阪間の交通費を捻出するために大阪のコーヒー店でアルバイトなどをするかたわら
役者として単発の仕事をしていたそうです。

大学卒業後はオペラの道に進むために海外に行く選択肢もあったそうですが
日本で活動したい、と東京に居を移して
同じ系列のコーヒー店にアルバイトを移籍して生活していました。
プロダクションに所属していたものの声優としての仕事はほとんどなく
その分、コーヒーマイスターとしてお店をオープンできる程に修行を積みました。

そんな時、突然舞台の主役のお仕事が決まり1年間、日本全国を行脚。
福島県内では福島市や郡山市、浪江町などで公演を行ったそうです。
その後は2年、別の演目でまた全国を回っていたそうです。
この3年間の日本巡回公演で役者としての土台、基礎ができ
プロとしての意識など教えてもらった、と。

その後はFMせたがやでパーソナリティとして1年活動し
ラジオドラマなどにも少し出演するようになり、少しずつ声優の仕事へシフトしていきます。
というのはプロダクションを移籍し、それによって声を使う仕事が増えたからです。
舞台に上がるには舞台メイクが必須でした。
しかし肌が弱かった綾瀬さんは肌トラブルでメイクが出来なくなり
舞台を扱わないプロダクションに移籍したそうです。

声だけの仕事になると音の世界だけの繊細さを知ります。
耳を鍛えていないと、声を音として口に出すことができません。
耳を鍛えることに労力を使うことになります。
音楽を勉強していた綾瀬さん。
音感があったので標準語にはすぐに慣れたそうですが
関西人は無声音ができない人が多く
「きつつき」が声優として美しい発音では言えていない自分にショックを受けたそうです。


★無声音は日本語をキレイに発音するテクニックで
母音は少しだけ発音し、全体を息だけで発音する音。
“きつつき”は正しくは無声音で「き」、有声音で「つ」、無声音で「つ」、有声音で「き」
と発音するのだそうです。
私は綾瀬さんに「きつつき」と言ってもらったのですが
有声音と無声音の違いがよく分かりませんでした~。
今まで私は意識したことはなかったのですが、ネットで〔無声音〕と検索してみて
声優やナレーターは正しい日本語を発音するために
鼻濁音や無声音について練習していると知りました。


声優はかわいい声が出せるだけでは生き残れません。
綾瀬さんには根底に俳優として培ったものが土台がありました。
本物の役者をめざしていてよかった、と当時を振り返る綾瀬さん。

綾瀬さんは大学在学中からプロダクションに所属していましたが
普通はどのような形で声優になるのか質問しました。
だいたい二通りに分かれるそうで
好きなプロダクションの養成所に入るか、専門学校に入るのだそうです。
専門学校に入った場合はその後、所属オーディションを受けるのだと。
養成所や専門学校に入ってもまずは身体づくりができていないとのどをつぶすので
発声練習などの地味な練習から始めるのだそうです。

声優になりたい中高生にメッセージはありますか?と質問したところ
友達といっぱい遊んだり、いろんな経験をしてください、とのことです。
友達と作った思い出はどんな時でも自分を支えてくれます。
そして様々な経験は必ず役者としての糧になってくれます。

また現在、綾瀬さんは声優・俳優の専門学校で講師をされています。
沢山の生徒さんや受講生を見ていて感じることは
別の特技を持っているとか、部活で精一杯活動した経験や功績がある子の方が
精神的にも強かったり、揺るぎない信念があって、芯が通っていて、
自己コントロールが利く子や、コミュニケーション能力は高いと感じるそうです。


プライベートなこと

綾瀬さんは一児のママでもあります。
ご主人は綾瀬さんのお仕事についてどう思っているか気になっていたので聞いてみました。
ご主人も元俳優ということで芸能界のお仕事に理解があるそうです。
今は、故郷であるいわき市に戻り、会社員として働いています。
お子さんは18:30まで保育園で預かってもらえるので
綾瀬さんがお迎えに間に合わないときはご主人がお子さんのお迎えに行ったり
東京でのお仕事も日帰りするようにしているそうです。

綾瀬さん自身が小さかった頃のことも聞きました。
綾瀬さんのお父さまはチューリップやユリの球根の検疫を担当する貿易管理官をされており
綾瀬さんは小学校三年生までオランダで過ごしていたそうです。
帰国後もお父さまは神戸や大阪の南港、関西国際空港などで勤務していたとのこと。

綾瀬さんは外国で生活していた分、帰国してからは「日本のことがやりたい!!」と
なんと書道は師範代の腕前をお持ちです。
吹奏楽コンクールの賞状に名前を書くお仕事など
いわきに来て初めて筆耕の仕事をしたそうです。


声優になりたいと思ったきっかけ

綾瀬さんにお話を聞いたときに
一番大事な「声優になりたいと思ったきっかけ」を聞くのを忘れていて
帰宅してから「一番大事なことを聞くのを忘れた!!」と慌てて綾瀬さんに問い合わせました。
そのメールをそのまま引用させていただきます。

どうしてか、無くてはならない空気みたいに、演じるとか、絵とか、歌とかが好きなんです!

アニメでいうと、絵が動くのが不思議だったり、吹替映画ならば、日本人ではない人が日本語を喋っているという事が不思議で、食い入るように見てはいつのまにかセリフを覚えちゃう…という事を、子供の頃から繰り返してました。

小さい頃、大好きな「魔女の宅急便」を見て、主人公キキと絵描きのお姉さんウルスラの「声が同じに聞こえる」って父に言ったら、父が驚いたんです(笑)
ここが、最初のキッカケです。

実際、声優さんは名探偵コナンくんでもお馴染みの大人気声優さんが両役演じていらっしゃいます。
お父さんって存在は、教えてくれる事は多いけど、娘の私が、お父さんが知らない事を教えてあげられたんだ!って事が、子供心に感動したんです。

でもそれはまだ「声優」って職業がある事を知っただけに過ぎないんですけど、その事をきっかけに、アニメや映画の作品の裏には声優さんが居て、声優さんは大好きなあの作品のこの役で、この作品にもこの役で出てる。という"聞き分け"みたいな事が出来るようになって、喜んでいました。

それこそ幼少期は、母が山ほど絵本を読ませてくれたし、月に一度は必ず舞台演劇も映画館にも連れて行ってもらったし、母親のチカラは大きく関係してると思います。
(そんな母は小学校教諭でした。私が12歳の時に他界)
おかげで小さい頃から人並み以上に審美眼は鍛えられたような気がしてます。書道もそこには通じてるでしょうね。


私には、音楽教諭になる道も、書道家やお習字の先生になる道も、コーヒー屋さんになる道もありましたけど…いろんな事を経験した上で、やっぱり「好きな事を仕事にする為の努力」の方が勝ちました。


ここで私が「好きな事を仕事にする為の努力」とはどんなことですか?と質問しました。


芸能界の事なので、辛いことって演じる事以外にもいっぱい存在しますけど…「ツラくても頑張れる」とか「出来ない事を出来るようになろうともがく努力」とかが分かりやすいでしょうか。

日本巡回公演で舞台女優をしてた頃は、月収ではなく契約期間でのギャランティーなので、最初の頃はお金がなくて、何ヶ月か経って自宅に帰ったら、一人暮らしのアパートの電気もガスも止まってた(笑)なんてこともありました。それでも耐えられたし、演技が上手くいかなくてどんなに失敗して叱られても、絶対負けない!って、踏ん張れたのは、やっぱり好きだからでしょうね。
大袈裟ですけど、上手くなりたくて死に物狂いで勉強しました。もう諦めたいと思っても、お客様は楽しみに待っていてくださるし、共演者や友達の存在も大きな支えになっています。

ツライから諦める!って、辞めるのは簡単なんです。
それでもやりたい!って、声優や女優っていう、役者として生きるお仕事を選ぶのであれば、お客様に応える「責任」が次にあるわけです。

感情の流れひとつにしても、演じるキャラクターとリンクしていなければならないですし、自分の演技だけじゃなくて、共演者や映像とも融合しなくてはならないので、声優だからって、台本に書いてあるセリフを間違えずに読むだけじゃないじゃないですか。自分は経験したことのないものも、役を通して経験せねばならないし、キャラクターや世界観を追求する努力って、こたえがひとつじゃないぶん並大抵じゃないんです。

気持ちがリンクすれば演じられるというだけでもなく、責任には、見せられる形への変化も必要です。
好きでないと「努力」って出来ないと思いません?

また、プロになってからですと…

遠方住まいである事や、子供の事とかなどの物理的な障害を乗り越える事は勿論ですが、そのキャラクターが出来るのは私しか居ないし、体調が悪くたって、良い時と同じだけのパフォーマンスが必要ですし、収録本番までにどれだけ集中力を高められるか…など、一般企業就職経験も実はあるのですが、会社勤めではあり得ない事だらけです。

だからこそ「役者」って職業は、職業と言うよりは、「生き方」を選ぶ。という事だなぁと、よく思います。

好きだから続けられる
好きだから耐えられる
好きだからもっと頑張れる
好きだし、目指さないと、なれない職業です。
多分、声優にはなってもならなくても良かったけど声優をやってる…という人は存在してないと思いますから😊



綾瀬さんの言葉はすごく力があって
ぜひ声優や俳優になりたい!!と思っている方には読んでいただきたいと思い
綾瀬さんからいただいたメールをそのまま引用させていただきました。

私自身は声優というとなんかぼんやりとした
かわいい声が出せたり、アニメの画面を見ながら声を吹き込んでいるような
そんなイメージしかなかったのですが
声の仕事だからこそ、音に関する研ぎ澄まされた感覚が必要だったり
キレイな発音のために地道な練習をしていることやプロ意識のことなど
私の知らない世界が広がっていてとても興味深くお話を聴かせていただきました。

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