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2025年9月3日水曜日

「えくぼの歌」 やなせたかし

泣きたいとき私がまんするの
私は泣くのがにあわないの
私はえくぼがあるから
かなしいときも
笑ったような顔になるの
いつもにこにこうれしそうねと
みんなはいうけれど
えくぼのてまえがまんしているの
ひとりでこっそり泣けば
私のえくぼにたまる涙

泣きたいとき私がまんするの
みんな私のきもちしらずに
私はえくぼがあるから
かなしいことの
ない娘と思われているの
いつもほんとにうれしそうねと
だれもいうけれど
えくぼのてまえがまんしているの
ひとりでこっそり泣けば
私のえくぼにたまる涙

2025年8月30日土曜日

「てのひらのかなしみ」 やなせたかし

てのひらのうえに
あわいかなしみがこぼれる

にぎりしめれば
うすくあおく

てのひらににじむ
とおいおもいで

まばたいですぎた
なつかしい愛の日

ゆびさきに
いまものこる

しあわせなおもいで

てのひらのうえに
あわいかなしみがこぼれる

きまぐれに
てのひらにきえる
ふるいおもいで

てのひらのうえに
あわいかなしみがこぼれる

みつめていれば
ひそやかに
てのひらにうかぶ
愛のまぼろし

まばたいですぎた
つかのまのよろこび

このむねにいまものこる
なつかしいおもかげ

てのひらのうえに
あわいかなしみがこぼれる

にぎりしめても
さびしげに
てのひらにきえる
愛の思い出 

2025年7月7日月曜日

自分の経験が自分を助ける

レポート作成に追われる日々。

単位認定試験のレポートはなんとか形になったものの、最後がどうも上手くまとまらない。

そんな時、なんだか急にさだまさしさんの「主人公」の歌詞の一部を思い出して

レポートのまとめに使わせてもらった。

私が好きな詩を書き留めたりしていたことが、まさかこんなところで活きるとは……。


そうそう、レポートで何をどう書いたらいいのか皆目分からなくて「あー」と思っていると

急に以前読んだ本のことが思い出されて。

参考図書として示されていた本ではないけれど

でも内容として使える!!と忘れないうちにメモする。


今までの私の経験や書き留めていたもの、読んだ本、いろんなものが私を助けてくれる。

不思議だなぁ。

2025年2月24日月曜日

無名戦士の詩

私は成功する為に、神様に能力を求めた

が、従順になるように、弱さを授かった。

より偉大なことをする為に、健康を求めた

が、より善なることをするように、病弱になった。

幸せになる為に、富を求めた

が、賢明になる為に、貧困が与えられた。

人々から賛美される為に、権力を求めた

が、神様の必要性を感じる為に、無力を授かった。

人生を楽しむ為に万物を求めた

が、万物を楽しむ為に命を授かった。

求めたものは何も与えられなかったが、願ったものは全て与えられた。

このような者にも、神様は本心の祈りに全て答えてくださった。

私はあらゆる人の中で、最も祝福された者だ


140年前にアメリカの南北戦争に従軍し

戦傷者となった南軍の兵士がニューヨーク州立大学病院の病室に記したと言われています。

2024年11月23日土曜日

「希望について私は書きしるす」 谷川俊太郎

希望は全身で笑っているひとりの子どもにある

その子の上の青空にある

だがもっと強い希望はもう泣く力もなく

ぼんやりと座っているひとりの餓えた子どもにある

その子の下の大地にある

そうしてもっとも強い希望は

死んでしまったすべての子どもにある

その子らの姿を思い描くひとつの無名の心にある


風よ

どこの国のものでもない風よ

なんの主張もせぬ旗を

ひるがえせ春の野に

2024年11月20日水曜日

谷川俊太郎さん

谷川さんの、年齢の資格化についてのエピソードが素敵だったので記録しておきたいと思いました。

読みながら詩集「バウムクーヘン」にあった“ハハのむすめ”の詩を思い出しました。

2024年7月22日月曜日

2024年6月27日木曜日

「どの子も子どもは星」  東井義雄

どの子も子どもは星 

みんなそれぞれがそれぞれの光をいただいて 

まばたきしている

ぼくの光を見てくださいとまばたきしている

わたしの光も見てくださいとまばたきしている

光を見てやろう 

まばたきに応えてやろう 

光を見てもらえないと子どもの星は光を消す

まばたきをやめる 

まばたきをやめてしまおうとしはじめている星はないか 

光を消してしまおうとしている星はないか 

光を見てやろう 

まばたきに応えてやろう 

そして 

やんちゃ者からはやんちゃ者の光 

おとなしい子からはおとなしい子の光 

気のはやい子からは気のはやい子の光 

ゆっくりやさんからはゆっくりやさんの光 

男の子からは男の子の光 

女の子からは女の子の光 

天いっぱいに 

子どもの星を 

かがやかせよう 


「東井義雄詩集」より

2024年5月10日金曜日

いい男だったわ お父さん

いい男だったわ お父さん

娘が捧(ささ)げる一輪の花

生きている時言いたくて

言えなかった言葉です


茨木のり子

2024年2月1日木曜日

モカシンの箴言(しんげん)

 最近、この「モカシンの箴言」をふと思い出す。

「兄弟のモカシンを履いて3つの月のあいだ歩くまで、彼を批判してはならない」


人はホントに、ちょっとしたことで他人を批判してしまう。

でも見えているのはその人の一部であって、批判も誤解から生じたものであり

実際のところを知れば批判ではなく納得するのだけれど

でもやっぱり批判する心って出てきてしまうんだよね。

この箴言「なるほどな」と思う。批判する心が出てきたら思い出そう。


そして「善悪のいずれか一方に、その人を押し込めないことです。」

2024年1月30日火曜日

「オランダへようこそ」 エミリー・パール・キングスレー

私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。

そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、

それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。


赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。

例えば、旅先はイタリア。山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。

コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。

簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。とてもワクワクします。

そして、何カ月も待ち望んだその日がついにやってきます。

荷物を詰め込んで、いよいよ出発。数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。

そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。

「オランダへようこそ!」

「オランダ!?」

「オランダってどういうこと??

 私は、イタリア行の手続きをし、イタリアにいるはずなのに。

 ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」


でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。

あなたは、ここにいなくてはなりません。

ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。


だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。

それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。

そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。

でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、オランダには風車があり、

チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。


でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったり来たりしています。

そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。

きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。」

と、いうのでしょう。


心の痛みは決して、決して、消えることはありません。

だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。


でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、

オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、

心から楽しむことはなかったでしょう。


みんなとは違う土地だけど、

私はオランダを思い切り楽しんで、そして大好きになりました。


オランダへようこそ!


2024年1月21日日曜日

ママがいい!

ママがいい!」を読んで

本の中で紹介されている小野省子さんの詩「愛し続けていること」を検索したら

「ママがいい!」の著者の松居和さんのサイトが出てきて

小野さんの詩が沢山紹介されていて、どれも素敵なお母さんの詩でした。

母であることの苦悩も、悲しみも、不安も、どれも分かる……。

そして、大変だけれども母になれてよかったと思う。


そしてページに書かれている松居さんの解説も

あの本に書かれていることの根底にあることが書かれていました。

私もそう思います。

私たちは不完全だから、小さきものが私たちを育ててくれるんだと思う。

でも早いうちから母子分離してしまえば

不完全な私たちはずっと不完全なままになってしまうのかもしれない。


2024年1月20日土曜日

「愛し続けていること」 小野省子

いつかあなたも

母親に言えないことを

考えたり、したりするでしょう


その時は思い出してください

あなたの母親も

子供には言えないことを

ずいぶんしました


作ったばかりの離乳食をひっくり返されて

何もわからないあなたの細い腕を

思わず叩いたこともありました

あなたは驚いた目で私をみつめ

小さな手を

不安そうにもぞもぞさせていました


夜中、泣きやまないあなたを

布団の上にほったらかして

ため息をつきながら

ながめていたこともありました

あなたはぬくもりを求め

いつまでも涙を流していました


私は母親として 自分をはずかしいと思いました

だけど、苦しみにつぶされることはなかった

それは、小さなあなたが

私を愛し続けてくれたからです


だからもしいつか

あなたが母親に言えないことを

考えたり、したりして

つらい思いをすることがあったら

思い出してください


あなたに愛され続けて救われた私が

いつまでもあなたを

愛し続けていることを

2023年12月17日日曜日

東の国からはるばると

ゲーテさん、お見事です!!
ふた回りも下の女性に贈ったということも、銀杏の葉で自分の思いを表現するところも。


2023年8月25日金曜日

「空の色が」 吉野 弘

空の色が

海の色でした

遥(はる)かな 隔たりに妨げられず

空の青が 海の青でした

或る人の心の空の色がそのまま

誰かの心の海に届いている

というようなことも ある

などと思いながら、私は

海を

海に届いている空を 泳ぎました

正確には――私の海に届いている或る人の空を

2023年7月23日日曜日

「騙されるな」 ビートたけし

人は何か一つくらい誇れるものを持っている。

何でもいい、それを見つけなさい。

勉強が駄目だったら、運動がある。

両方駄目だったら、君には優しさがある。

夢をもて、目的をもて、やれば出来る。

こんな言葉にだまされるな、何も無くていいんだ。

人は生まれて、生きて死ぬ。

これだけでたいしたもんだ。


ビートたけし詩集 僕は馬鹿になった